Lingua Anglica, Englisch, Ti?ng Anh, 英?, 英語

自分からこんなことを書くのも、特に日本的には厚かましいとは思うんだけれど、日本人の非ネイティブとしては英語はまあよくできる方なんじゃないかと思う。別に読んだり書いたりするのが早いわけではないし、文法間違ったりはよくやってるけど、だからといってコミュニケーションで困ったりすることは、まあまずない。周りはドイツ語圏だけれども、日常英語で喋ることはやっぱりおおいし、一番使っているのは実は英語なんじゃないかと思う。なんだかんだヨーロッパや世界各地からの留学生との間ではおおむね共通語になっているし、公的な場面でも英語訳はたいてい用意してあったりする(公共系だと他には、チェコ語やスロバキア語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、セルビア語、トルコ語などが多い)。

その一方で、ドイツ語圏に居る割りには、ドイツ語はずいぶんずたずたである。日常生活のコミュニケーションには困らないのだが、複雑なことを表現したりするにはほど遠い。またボキャブラリーも貧弱だ(いや、英語だって日本語だってボキャ貧ですよ)。まあ確かに駅で切符買ったりパン屋でパンを買ったり保険局で健康保険に加入手続きをしたり、大学で同僚Kollegeとちょっとしたジョーク飛ばしたりはできるけれど、だからって自分の研究計画をドイツ語で書けといわれたら、辞書首っ引きでそれなりの体をなした文章は書けるけれども、ネイティブ・チェックをしてもらうと、真っ赤になって帰ってくるのが常だ。

さて、この2言語を使い分けていて、面白いことを発見した。英語ができることをほめられることはまずないのだが、ドイツ語が「ある程度」できることをほめられることは割とあるのだ。「You speak English very well.」なんて言われることはきわめて希だけれど、「Du sprichst sehr gut Deutsch.」と言われることはままある。

一つには、ここがドイツ語圏であるというのが理由だろう。さらに、英語が世界中で広く使われているのに対して、ドイツ語はドイツとオーストリア、スイスの一部でしか使われていないのだから、ドイツ語を母語とする人がドイツ語をしゃべれる外国人を見てより容易に嬉しくなる、という可能性だってあろう。

しかし、どうやらこれ以外にもう一つ面白い現象があるのではないか、と最近思うようになってきた。というのは「人はある言語がモノになっている人に対して、その言語が操れることをほめることはほとんどない」というものではないだろうか(自分で言うのも恐縮だが、自分が英語がモノになっていないと言ったら怒られるだろうから、モノになっていることにするが。)。しかし、「人はある言語を習得途上にある人に対しては、その言語がしゃべれることをほめる」というのもあるのではないだろうか。この2つをひっくり返せば、「外国語が上手なことをネイティブにほめられたら、それはまだまだ伸ばす余地が大きい」ということなのではなかろうか、ということである。逆に「外国語が上手だとネイティブにほめられたら、そのネイティブは実はまだ下手だと思っている」と言うこともできるかもしれない。

正直なところ、オーストリア訛りの英語はなかなか理解しにくい。ドイツ語を母語とする人の英語はドイツ語から翻訳したような癖が少しあるし、オーストリア訛りのドイツ語風に英語を発音をされると何を言ってるのか解らないことがある。こういうのが続くと、自分の英語が実は全然ダメなんじゃなかろうかと不安に思うことも多々あるのだが、一方でアメリカやイギリス出身で英語を母語とする人の機関銃のような話しでも速記しろと言われたらできそうな気がするので、やっぱりこれは杞憂であろうかと思ったりもする。そんなことを考えている中で出てきたのが、上の仮説だ。

別に検証したわけでもなんでもないので単なる直感なのだが、こういう法則があるとしたら、自分の言葉の上達レベルの参考になったりするんじゃかろうか。そして、(不覚にも)「日本語がお上手ですね」なんて言ったりしたら、それは相手の日本語があんまり上手いと思っていない証拠なんじゃないか、と思ったりするのである。まあ、あくまで仮説だから、本当にそうなのかどうかは検証してみないとわからないけれども。

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