EU議会選挙結果とオーストリア

昨日(7日)に行われたEU議会選挙の結果が一通りでた。投票率は42.9%ほどで芳しくない。日本のニュースではイギリスのブラウン政権の件との関連以外は、あまり報道されていないようだが、簡単に結果を示しておくと、以下の通り。データの画像と数値は全てEU議会選挙の公式ウェブサイトからキャプチャないし引用。

EU議会選挙結果(EU議会選挙公式サイトから引用)

EU議会選挙結果(EU議会選挙公式サイトから引用)

結果から言うと、右派政党が票を獲得して、左派政党が議席を減らした、というような状態。左から順に、極左系・北欧環境系、社会民主党系、緑の党(環境)系、自由・民主系、保守系、右派保守系、反EU系、といったところ。

オーストリアの結果を下に示しておこう。

オーストリア国内の政党別選挙結果(EU議会選挙公式ウェブサイトから)

オーストリア国内の政党別選挙結果(EU議会選挙公式ウェブサイトから)

左のÖVP(6議席)は、中道右派のオーストリア民族党。二番目のSPÖはオーストリア社会民主党(5議席)。この2つは連邦議会で連立している(SPÖが第1党)。第3位のMartin(3議席)、第4位のFPÖ(2議席)は極右政党。Martinの政党は反EUを掲げている。GRÜNE(1議席)は環境保護を掲げる緑の党。BZÖ(議席なし)はFPÖから分裂した極右政党。

極右政党だけで35.7%も得票を集めている。1/3を超えているからかなりの割合だ。昨年の連邦議会選挙では29%程度だったから、それよりもさらに増したことになる。逆にSPÖやGRÜNEの左派系が票を落としている。オーストリア学生連合(オーストリアの大学に在籍している学生は加入義務があるもので、学生の要求などを代弁する。政党と対応する組織がいくつかある。)の代表選挙では緑の党系が多くの票を集めているのとは対照的だ。

なお、EU議会選挙はEU加盟国に国籍を持つ人すべてに投票権があるが、オーストリア国内に住むEU国籍外国人の多くは本国の選挙に投票するようで、結果はオーストリア国籍を持つ人の投票結果と考えてよいだろう。その観点から見ると、オーストリアは外国籍が多いから(ウィーン市の外国人比率は24%)、この層の多くが本国で投票したか投票できない(非EU加盟国の国籍)と考えられるので、居住者全体の実体と結果がうまく一致しているかについては疑問の余地が残る。

そういえば、先週の木曜日には、近所の通りで行われたFPÖ(極右系)の演説会に対して、アラブ系(主にトルコ、シリアなどと見られる)の移民と見られる集団が比較的大規模な示威行動を行っていて、一触即発の様相だった。機動隊が両者をバリケードで分離していた。

なお、興味深い結果を残したのはスウェーデン。Pirate Bayと呼ばれるスウェーデン製ファイル共有ソフトが非合法化された後に設立されたPirate党が、7.1%の得票を得て1議席を獲得した。この政党はインターネット上での著作権などの自由化を求めている、単一の施策を掲げた政党だそうだ。(CNN)

2 comments to EU議会選挙結果とオーストリア

  • alice

    この日記は勉強になるよ。

    ich muss nämlich die EU wörter auf japanisch lernen. だからタケルの書いた物を読んで、勉強になるから嬉しい。

  • Haha, それは嬉しい!
    でも英語とドイツ語の他の記事を整理して書いただけで、オンライン版の新聞記事とか読めば書いてあるよー。

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