やっぱり東京のメディアは「?」じゃないかな。

(これは前回のエントリー「テレビや大手新聞は見ない/読まない方がいいのではないかと思う今日このごろ。 」の続きです。)

前回のエントリーには反響がそれなりにあった。さらに自分で見つけたこと、考えたこと等々も含めて、書き足しておく。

今日のニュースを注意深く見ていると、「テニアン誘致を決議 北マリアナ上院議会 日米政府に要求へ」という記事が沖縄タイムスから出ている。内容は、アメリカの自治領(属州)である北マリアナ諸島の上院議会(定数9)が、普天間基地の移設先として同諸島内のテニアン島の米軍租借地を使うよう、日本やアメリカの政府に検討を要請するというもの。可決は全会一致だそうで、さらに下院(定数20)でも同様の議決が準備されているという。琉球新報にも同様の記事がある。

英語版記事を検索してみたら、米軍機関紙だというStars and Streipsに記事があった。David Allenという記者の記事で、21日付け宜野湾発となっている。冒頭をちょっとだけ引用すると、

While no communities on Okinawa and mainland Japan are willing to accept the relocation of Marine Corps Air Station Futenma, lawmakers representing tiny Tinian Island are campaigning for it to be the new home of the controversial base.

(仮訳)沖縄と日本本土のどの自治体もが普天間海兵隊基地の再配置の受け入れを望んでいない中で、小さなテニアン島の議院たちがこの物議を醸している基地の新たな場所となるよう政治的活動をしている。

というものだ。中身は、同じもので、「地元紙のSaipan Tribune」が報道していたとしている。ただしざっと検索した限り、Saipan Tribuneのオンライン版には記事は見つからなかった。

さて、不思議なことに、東京系のメディアを見ても、この件は紹介されていない。試しに日本のGoogle Newsで「テニアン」と検索してみても、出てくるのは、上記沖縄タイムスの記事を基にしている共同通信社の記事と、琉球新報の2つだけ。どうもおかしい。「北マリアナ諸島議会の議決なんてたいしたこと無いから見過ごそうぜ」というのはあまりにも考えとして稚拙だし、どうも、大手マスコミが業界を挙げて、テニアンやサイパンへの移設の可能性を「封印」しようとしているようにしか見えてこない。(マスコミはあくまで「社民党の提案」という扱い方しかしていない。)

やっぱり日本のメディアだけ見ていてもこの問題の全体像は出てこない。というか、在東京のメディアはグルでプロパガンダ・マシンと化しているんじゃないかと本気で思えてくる。

さて、こんなことも考慮した上で、いつ「腹案」は公表されるのだろうか?というか腹案はなぜ好評できないのだろうか?という話しもあるわけだが、主に3つ理由があるのではないかと思う。上記の決議のような「受け入れ側からのアピールを待つ」のが1点目。2点目として考えられるのは「公表してしまうことで足を引っ張る勢力がいること」。国内にも、「米国の虎の威を狩る」人たちや、金銭的な利得がある人たちがいてもおかしくないから、この理由も考えた。3点目として考えられるのは、沖縄や国内の世論が更に湧くのを待つ、という点だろう。時間が経てば経つほど沖縄県内への移設は不可能になる。

なお、話しが変わるが、上記のStars and Stripes の記事には、

Although Prime Minister Yukio Hatoyama has not publicly disclosed any alternate sites being considered, the Japanese media, quoting unnamed government sources, are reporting that Tokunoshima, with a population of 26,000 people, is one of the leading prospects.

(仮訳)鳩山由紀夫首相は検討中のどの案も今のところ公にしていないにもかか わらず、日本のメディア(<–訳注:複数形です)は人口26000人の徳之島が最も有力な候補であると、匿名の(特定不可能な)政府の情報源を引 用して報道している。

と書いている。訳注を入れた箇所は”the Japanese media”とthe付の複数形で書いており、集合的に「いろんな多数のメディア」という意味である(高校の英文法でも思い出してネ)。

さらに、朝日新聞沖縄版に今日出た、在沖縄アメリカ総領事へのインタビューでは、

(記者)鳩山政権では鹿児島・徳之島案やキャンプ・シュワブ陸上案、うるま市の勝連沖案が検討されています。
(領事)新聞での報道あるが、それをもとに評価するのは難しい。日本政府が提案をだせば、その提案には適切な対応する。
(記者)普天間問題で日米関係の悪化が懸念されています。
(領事)普天間問題で日米関係が悪化するという認識はない。(中略)基地の整理ができれば沖縄の将来にプラスになる。

というやりとりが紹介されている。領事側は徳之島やキャンプ・シュワブ陸上案、勝連沖案が日本政府の公式な提案ではないことを承知している。しかも一部マスコミが喧伝している普天間問題で日米関係が悪化というのも明確に否定している。(余談だが、意図的か単なるミスか分からないが、この記事の日付が「2010年05月22日」となっている。)

ちなみに、今日のぶら下がり会見の最後でも、

(記者)国民の前にリーダーシップを見せる指導者に変わるという話があった。国民にリーダーシップを見せて安心してもらうような政治スタイルに切り替えたら どうか。
(首相) 「ご示唆ありがたく思っております。特に普天間の問題で、その思いを実現させてまいりたいと考えています」

とはっきり述べている。この日の記者会見で普天間に触れた記者はいないのだが、敢えてそこで述べるあたり、やっぱり日本のメディアに出ていない、あるいはメディアが封印しようとしている「腹案」がちゃんとあるのだろう、という気がしてくるのだが。

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