スプーンの使い方に関する観察

ここ2ヶ月ほど、オーストリア人と日本人の「スプーンの使い方」を折に触れて観察していたが、興味深いことに気づいた。欧米人とアジア人、と一般化できるかもしれない。ポイントは、スープを飲む/食べる時の使い方の差異だ。固形物を食べる食べ方は共通だ。なお、スプーンだけでなく、中華料理に使われる「れんげ」でも基本的に同様だ。また、スプーンは標準的な「たまご形」をしたものである。

オーストリア人がスープを食べる時は、スプーンですくい、先端からスプーン全体を口の中に入れて「食べる」。固形物を食べる時のスプーンの使い方と同じだし、ここに由来するのだろう。この食べ方だと、液体をすする音も発生しない。なお、基本的に器を口にあてて飲むことはしない。スープを入れるのは「皿」であり、「椀」に入って出てくることは、ランチメニューやアジア系料理を除くと、あまりない。

日本人がスプーンを使ってスープを飲む時は、側方を口に当てて「飲む」。スプーン全体を口の中に入れることは、この場合は物理的に不可能だ。液体をすする音も発生する。ちょうど、れんげでスープを飲む時に側方を口に当てて飲むのと同じだろうし、由来もここにあると思われる。

ちなみにオーストリア人がれんげを使う場合も、スプーン同様に先端から口にあてる人が多い。ただし、大きいため口全体にれんげを含むことは難しいから、先端から流し込んでいるようだ。

なお、日本語ではスープを「飲む」というが、ヨーロッパの言語では、スープには「食べる」という動詞(英語の eat やドイツ語の essen )を使う。スプーンの使い方の動作と関連しているような気がして、おもしろい。

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