オーストリア国鉄(ÖBB)から、Sommerticket (Summer Ticket) という、かなりあっぱれなオファーが出ている。7月4日から9月14日までの10週間の間、オーストリア国内の国鉄路線全てに乗り放題、というチケット。
購入できる要件は、26歳の誕生日を迎えていないことと、VORTEILSCard <26という、1年有効で国鉄全線が半額になるメンバーシップ・カードを持っていること。
料金は、20歳未満は25ユーロ、20歳以上26歳未満は59ユーロだ。今年から値上げされたが、期間が延長されたしÖBBの運賃そのものも値上げされているのでやむを得ない程度だろう。20歳未満には、ウィーン周辺(市内を除く)のバスが乗り放題になる35ユーロの特別バージョンもある。
驚くのはこれだけではない。オーストリア西部のチロル州では、夏休みの間、18歳未満のチロルの住民は、全ての地域公共交通機関を無料で使うことができる(ソース)。飛び地である東チロルと州都のインスブルックを直通するイタリア国内経由の列車にも適用される。
どちらも、若年層に公共交通機関をプロモートする政策の一環だ。おそらく、免許を取得して車で移動することになれてしまう前に、公共交通の利便性を実感してもらうことで、車利用を抑制し、将来の公共交通の利用者を育成しようというものであろう。「今」という時点では営業上の収入を減らすことにはなるが、今後数十年の時間スケールでは公共交通機関の利用者増につながり、かつ自動車の社会的不効用を抑制できる、という考えに立っているに違いない。とすれば、きわめて筋の通ったプロモーションであろう。
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