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『ガラパゴス化する日本』

長いことブログを記していなかった。この1ヶ月半ほどの間に、イスタンブールへ行き、リスボンへ飛び、はたまた日本へ飛び、さらに韓国にも寄り道した。本来なら今日はモスクワにいる予定であったが、このところの森林火災とそれによるスモッグの影響が不透明なので、この予定はキャンセルして後日改めることにしたところだ。

さて、『ガラパゴス化する日本』(吉川尚宏著、講談社現代新書、2010年)とは刺激的なタイトルである。「ガラパゴス化」とは私も時々自分の専門分野で使うことがあるが、要するに世界の他所と隔絶された孤島で独自に進化を遂げてしまった状態であり、この本の場合は日本国全体がそうであるとしている。

本書に出てくる実例はまずまず面白いし、へえとうなずくこともある。ところが、最後の章がちょっとお粗末だ。ここに出てくる、「脱ガラパゴス化」のための、2つのシナリオとは、「霞ヶ関商社化」と「出島を作る」ことだそうである。霞ヶ関商社化とは要するに「国の制度や仕組みを海外と互換性のあるものにする」ことだそうで、「出島を作る」というのは、どこかの都市を、日本語以外に英語と中国語が準公用語で、解雇規制も含めた規制の撤廃され、空港などインフラが整い、世界最先端の研究期間があり、法人税などが低く企業運営コストが低く抑えられた場所を作れば、そこが「活性化」し、ガラパゴス化打破の糸口となる、というのが主張だ。最後に、労働者の再教育機関設置などの人材への投資を謳っている。

前者は、制度に互換性があるようにし、さらにルール作りを先に制した物が得をするということで、制度ごと輸出もできるものを作るということを提言している。問題は、この手のことはEUなどが先んじて既に行っていることである。どの程度インパクトがあるのか、不明なところも多い。日本国内には制度変更による各種コスト負担を強い、外国企業は非関税障壁が減って美味しい思いをする、なんていうだけの結果にもなりかねない。

後者は、要するに教育水準の高い外国人を日本国内の一カ所に集めて入れて、それを梃子に活性化しようということであろう。確かに「ガラパゴス化」は脱出できるのかもしれない。が、この「出島シナリオ」というのは、ざっくり言えば、要するに、安上がりにビジネスをできる場所をどこかに作ったら、日本は再び活性化する糸口を掴める、というようなものである。

そもそも、企業が低コストで事業ができ、人材に流動性があり、教育水準が高く、先端的研究機関があり、諸外国の言語が通じれば、イノベーションが起き、さらに日本全体に波及効果が生まれる、というのは、どうにも虫が良すぎないだろうか。本質的な所では「風が吹けば桶屋が儲かる」式の論理であると私には思われる。期待した通りの結果が生まれてくるとは考えにくいし、さらに他国の動きいかんでは正反対の結果にもなりうる。たとえば、この「出島」類のものを近隣の国に作られたら、瞬く間に人材から企業立地までそちらに吸い取られる可能性が高い。要するにただの安売り競争を自ら仕掛ける(そして仕掛け返される)ことになるだけかもしれない。

そもそも、世界にはわざわざ日本で働きたいと思う人はそう多くはない。「日本で働く」ことから連想するのは、少ない休暇、長時間労働、通勤地獄、「体育会系的」上下関係、、、、といったもので、まったく、魅力に乏しい。もっとはっきり言えば、いいことは一つもないといってもいい。おまけに、日本といえば、地震や台風といった天災を連想する。こんな具合だから、上記のような「出島的」特区を作ったって、おそらく人は集まらないだろう。

そういうことを考えていくと、この「脱ガラパゴス化の提案」に希望を持つのは、あまりに楽観的と言わざるを得ないだろう。

というわけで、本のタイトルとしてはセンセーショナル、だけで終わりそうな本だ。

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