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ウィーンの地下鉄は週末24時間運行になる

2月11日から13日に行われた5項目に渡る住民投票の結果、ウィーンの地下鉄は週末は24時間運行となることが決まった。土曜未明と日曜未明、祝日の未明(つまり金曜深夜、土曜深夜、休前日深夜)に、これまでの終電である午前0:30からこれまでの始発である午前5時までに各路線に運行されるとのこと。運行間隔は15分。従来運行されていた30分おきの深夜バスサービスは、週末は路線が変更される。(平日はこれまで通り。)準備期間を経て、開始予定は9月3日深夜(4日未明)となった。(ソース1,ソース2)
追加で市が負担する費用は1年あたり500万ユーロ(約6.1億円)とのことだ。これは税金から支出される。深夜のサービスとはいっても、運賃などは普通のサービスと同じVOR運賃が適用され、旅行者用の24時間券や72時間券、1ヶ月券、1年券なども使うことができる。現在の週末の深夜バスの利用者が毎週末16,000人ほどだそうだ。このうち一定程度がシフトすることになる。
施策としては比較的幅広い世代の支持を得ており、若年層に至っては9割以上が支持しているというデータもある。(ソース。むろん、この手のデータは質問の仕方1つでがらりと変わる点には注意。)政策としては、市政与党の社会民主党も、野党の民族党も支持しているため、比較的容易に広く浸透したといえそうだ。
24時間運行することのメリットは、利便性があがることがもちろん上げられるが、それだけではないだろう。ウィーン市交通公社は、投票前に出された広報にて、利点(Advantage)として深夜帯の公共交通網のわかりやすさの向上、速達性の向上、魅力向上による新たな顧客獲得、世界の都市と比較した上での先見性の確立、深夜バス一部路線での騒音の軽減を上げ、欠点(Disadvantage)として、5億円の追加費用、深夜バスが平日と週末で別のものになること、駅のセキュリティー面の強化が必要なこと、これまで成功してきている深夜バスサービスを部分的に終わらせることになること、地下鉄の高架橋区間での騒音を揚げている。これに加えて、深夜サービスがあることによる治安面の向上が期待できるだろうし、「夜遊び」する人が増えて飲み屋にはメリットになるだろう。一方、タクシーには打撃になるだろう(ただしウィーンはタクシーそのものが比較的少ないため、影響は限定的だろう。)
ちなみに、現在ではウィーン市の人口の9割以上が、何らか深夜サービスにアクセス可能な地域に居住しているとのことだ。(この深夜サービスにはASTAXという電話予約・乗り合いタクシー型公共交通サービスも含まれる。ASTAX=Anruf-Sammerung-Taxi。)この率はおそらく変わらないだろう。
蛇足になるが、以前、夏の間だけ、S-Bahnの路線が24時間運行していたことがあった(Meidling-Foridsdorf間。20分間隔)。確か2008年の夏であったと思う。いつの間にか無くなってしまったように思うのだが、いったいどうしたのだろう?
それにしても、終電間際になると朝ラッシュ時並かそれ以上にぎゅーぎゅーになる電車がおなじみの日本には想像もつかないことだろう。公共交通の根本が「営利サービス」ではなく「公共サービス」として道路などと同じように考えられていることの一つの明確な現れ方だろう。

JALの会社更生法、羽田空港と新幹線

JALが会社更生法の適用を申請したようだ。まあ、これは前にも書いたりしていた通りで、結構昔の段階から、破産法のどれか(会社更生法ないし民事再生法)を適用しないと国際的な競争力を再び持つことは不可能に思っていたので、特にコメントすることはない。
問題は、「羽田空港:新幹線乗り入れ 前原国交相がJR東海に打診」の方だ。リンクした毎日新聞の記事を要約すると、

前原国土交通大臣が、2009年12月27日に、フジテレビの報道番組で、浜松町付近から分岐して東京都品川区八潮にある大井車両基地に伸びる回送用の線路を羽田空港まで延伸する考えがあることを示した。
JR東海(筆者注:線路を保有している)にも打診したが、「断りの返事」があった。
今後も実現可能性の検討を続けていく。

ということだ。テレビ朝日のYoutube版なども参考になるだろう。
アイディアとしては、別に目新しいものではない。私も同じことを昨年10月13日付けで書いている。

東京と各都市間の移動や、羽田発着の国際線から国内線への接続は、短中距離区間は新幹線、長距離区間は飛行機と、距離に応じて役割分担をするように政策的に調整するべきである。
羽田空港に新幹線を接続するべし。大井車両基地への回送線を活用できる。横浜側も新線を建設する。
本州内のフライトなどは、その役割を新幹線に譲り、羽田のスロットをあける。
新幹線列車には、飛行機のフライト・ナンバー(便名)をつけられるようにする。さらに、新幹線の線路上に、航空会社が独自に列車を走らせることが可能になるようにする。
空いた羽田のスロットは、国際線向けに割り振る。ヨーロッパやオセアニア方面とも結ぶ。
上記のようなインフラ施策+制度的施策を組み合わせたら、羽田はもっと使い勝手のいい「ハブ空港」になるだろう。

だいたい、上記のようなものだ。別に目新しい話しではなくて、ドイツのフランクフルト空港では1980年代から実施されてきたことだし、パリのシャルル・ドゴール空港とアムステルダムのスキポール空港との間ではエールフランスKLMが既存の高速鉄道インフラを使った独自の列車の運行を計画している(つまり、ユーロスター、TGV、Thalysなど既存の列車が走る同じ線路の上を、エールフランスKLMブランドの高速鉄道を走らせる、という計画)。
ところが、これに対する日本国内の反応は、悲しいかな、「空港に新幹線を接続する」というアイディアの様々な可能性を全く考慮できていないようだ。
典型は、(どういうわけか)Yahoo!知恵袋にあった質問とそれへの回答である。(前原誠司国土交通相の羽田空港新幹線乗入れJR東海に打診発言、それと今迄の発言…)。「ベストアンサー」に選ばれているplanets8さんという人の回答。
東京ー羽田に新幹線を走らせたら、その分東京ー大阪の本数を減らさないといけませんので、JR東海に大打撃となります。JR東海が拒否するのは当然です。
現状羽田へのアクセスは京急とモノレールですが、現状でもそれほど混雑しているわけではありませんし、来年春には京急が大幅に羽田への輸送力を増強しますので(中略)こういった話はその効果を見てから検討した方が良い話だと思います。今検討しても、来年には状況が大幅に変わってしまうわけですので無駄になってしまいます。
というもの。要するに「羽田に新幹線を乗り入れると、JR東海側のキャパシティーが小さくなって本業で儲けられなくなるから、無理だろう。京急だってキャパが十分にあるし。」というものだ。似たような議論は、いくつかのブログや掲示板を見つけたが、いろいろなところで行われているだろう。(空港まで新幹線(笑々笑々笑々、http://yomi.mobi/read.cgi/hobby9/hobby9_rail_1179979118など)
しかし、こうした議論は視座が狭い。これらは、羽田への新幹線乗り入れは、あくまで首都圏の羽田空港利用者のためのもの、と考えているのであろう。羽田空港が開港して以来そうであったように、「羽田空港の集客域=首都圏」という考えを前提にしているのであろう。
だが、羽田に新幹線が乗り入れて本領を発揮するのは、首都圏の人たちが使う時ではない。重要なのは政策的に距離帯に応じて交通手段間の需給バランスを調整して、それぞれの交通手段が最も得意とする距離帯で「棲み分け」させる時だ。しかし距離に応じて棲み分けするだけなら、空港に乗り入れる必要はない。航空と鉄道が結節して交通ネットワークの得意分野を担って相互補完的になるようにするときに、羽田へ新幹線が乗り入れることが本領を発揮する。
想像してみて頂きたい。ANAのフライトナンバーがついた新幹線が新潟まで走るとか、アメリカン航空のフライトナンバーがついた新幹線が岡山まで走る、といった様子をだ。あるいは、長野駅で羽田空港発ロンドンヒースロー空港行きのヴァージン・アトランティック航空にチェックイン。荷物も預けて、あとはヴァージン・アトランティック航空がJR東日本とコードシェアをしている新幹線で羽田空港まで。そこから飛行機に乗り換えてヒースロー空港へひとっ飛び。長野駅で預けた荷物は、ヒースロー空港で無事受け取れて、めでたしめでたし、というものができる。あるいは、サンフランシスコの空港でANAの羽田行きフライトと、羽田から新大阪駅までのコードシェア・フライト(実体は新幹線)にチェックイン。新大阪駅の「空港コード」は「○○○」かあ、と航空券を眺めて知る。といった様子をだ。今挙げたのはほんの一例で、政策次第によっては無限の可能性があると言っても過言ではないだろう。「JRがANAと提携してスターアライアンス・リージョナル・パートナーに」などという姿だってあり得る。(スターアライアンスのロゴがついた新幹線が走る、なんてどうだろう?)
別に目新しい話しではない。すでに、ANAは、ドイツ鉄道と共同で、ドイツ鉄道が運行するICE(日本の新幹線相当)にANA便名をつけて、自社のフランクフルト便利用者と鉄道の接続をはかっているのだ(ドイチェバーン・コネクションサービスのご案内)。フランクフルトから、新幹線の所要時間にして1時間~1時間40分程度の、ケルンやデュッセルドルフ、シュトゥットガルトまでは、「ANA便名が着いた列車」で行けるのだ。さらに、ドイツ最大手の航空会社であるルフトハンザ・ドイツ航空とドイツ鉄道は、この手のサービスを1980年代から行っているのだ。今や「フランクフルト空港長距離列車駅」は、空港利用者だけではなく、ICE(日本の新幹線相当)相互の乗り換えにもしばしば使われている駅になっている。
このような施策を「モーダル・シフト」という。鉄道やバス、航空機や船、徒歩や自転車といったものを、専門的には、交通の「モード」という。ある地 点からある地点までの全移動(トリップ)が、それぞれの交通手段に何%ずつ割り振られているかを表すのを「モーダル・スプリット」という。「モードの分 配」という意味だ。つまり、各交通手段のシェアである。このシェアを、様々な面でロスが少ないように、最適なモードにシフト(移行)させるのが、「モーダル・シフト」だ。「羽田に新幹線乗り入れ」に代表されるモーダル・シフトは、長距離輸送における、航空から鉄道へのモーダル・シフトである。
このモーダル・シフトを推進する施策の可能性が日本国内でないわけがない。あまり航空機向きではない中途半端な近距離の路線を大幅に減らせて、羽田空港のスロットは空くので、国際線も含めた、飛行機向きの長距離フライトに割り当てられる。1人1kmを運ぶために必要なエネルギーは鉄道の方が圧倒的に少ないから、環境面でも大きなメリットがある。それに石油エネルギーを使わなくてもよくなる。航空会社にとってはメリットが多いだろう。
さらに、JRにとっても、乗客をさらに増やすチャンスになる。「東京~大阪に飛行機が飛んでいる必要なんかないんです。」と講演で言っていたのは、JR東海の葛西会長だ(東京大学工学部講義「産業総論 2005年冬学期」)。羽田に新幹線が乗り入れることを含めた、モーダル・シフトの施策を本格的に実施すれば、それこそ「東京~大阪に飛行機が飛んでいない状態」が実現することにもなり得る。
幸い、このような視座に立った議論も見かける(新幹線の羽田空港乗り入れは急ぐべき-前原大臣の提案は羽田ハブ化促進策になる)。だが、まだまだ少数派であるのが現実のようだ。日本での議論はどこか内向きなように思われる。「何も新幹線を運行するのがJRじゃなくっていいじゃない」くらいの柔軟な考え方からスタートして、もっといいアイディアを出し合えたら、上に書いた「ドイツの施策の二番煎じ」を超えた新しい長距離交通体系になっているかもしれないのに。この「内向きさ」は残念だ。そして、単に羽田空港に新幹線が乗り入れるかどうかの議論に終始するだけではなくて、より効率的かつスマートで使いやすく環境にフレンドリーな、長距離交通体系の構築をどうしていくか、という議論にしていくべきだ。

ウィーンの医療システムを垣間見た

先週末にインフルエンザらしきものに罹患したらしく、39度を超える高熱を出してしまった。時は日曜午前5時。医者がやっているわけがない時間だ。結果的に、ウィーンの緊急医療体制を垣間見ることになった。ちなみに、全体像は日本語でこちらのウェブサイトで紹介されている。
平日夜や週末に医師の診察が必要な場合、救急車を呼ぶ(144番に電話)以外の方法として、「Ärztefunktdienst」(141番)というものが用意されている。これは、当番の医者が、一通りの診察器具を持って家庭まで往診してくれるシステムだ。利用料は、公的な健康保険に加入していれば無料。私は、ウィーン地方公的医療保険Wiener Gebitskrankenkasse (WGKK) に加入していたので無料で利用できた。電話がつながるまでに15分~20分ほどかかったが、電話をしてから1時間半ほどで、医師と、補助をする救急隊員がやってきてくれた。
簡単な問診などを一通りしてくれて、その後は薬の処方箋を発行してくれる。「インフルエンザだね」と言いながら、処方されたのが抗生物質や解熱剤などだったので、細菌感染を防ぎながら自然治癒力で治せ、ということなのだろう。薬は薬局(Apotheke)に行ってもらってこないといけない。薬剤師会(Apothekerkammer)のウェブサイトに、住所から最寄りの薬局を検索できるシステムがあり(Apotheken -> Apotheken und Nachtdienstapothekenと開く)、週末や夜間に営業している薬局も検索できる。これを使ってみると、最寄りの薬局は1km以上離れていることが分かったので、ウィーンで医学部で勉強しているオーストリア人の友人に依頼して、薬を受け取ってきてもらった。薬代は10.50ユーロだった。薬は、市販の常備薬のような箱単位で処方される。抗生物質は1箱を飲みきったらおしまい。解熱剤は必要に応じて飲む、というふうに使う。
ウィーンで医者の世話になったのは実は初めてだ。基本的な月額の健康保険料が350ユーロ(45,000円以上)と個人の負担は大きいが(収入や社会的な立場などに応じて割引がある)、その分充実していると言えるだろう。

羽田空港をハブにすると宣言するだけじゃ物足りない

成田空港の不便さを外国人が実感していることは、外国の航空会社に乗るとよく分かる。一番いい例は、”We will be arriving at Narita Airport, located in the outside of Tokyo.”などという飛行機の中でのアナウンスだろう(むろん英語などを聞いていないと分からないわけだが)。羽田なら便利なのに、というのは良く聞 く話だ。だから、羽田をハブにするというアイディアはよくわかる。
とはいえ、羽田空港をより使い勝手の良いハブ空港にするには、某大臣の発言の後にちまたで言われているような、単に滑走路と発着枠を単純に増やして、国際線を増便するだけでは、ダメだろう。まだまだいろいろ考えられることがある。
一つは、オペレーションの効率化だ。誘導路から滑走路に進入する際に、直角ではなく斜めに入るよう誘導路を設計する。また、2本平行に誘導路を設置して、滑走路手前での待機を並んでできるようにするのも一案だろう(ヒースロー空港で採用されている方式だ)。効率的なオペレーションをするためのアイディアは他にもある。2本の滑走路を離着陸両方に使って、滑走路上に飛行機がいない時間を最低限にするものだ(フランクフルト空港で採用されている方式)。まあ、とはいえ、これは些細なアイディアだ。本題ではない。
本題は、私が前々からアイディアとして持っているもので、新幹線の羽田乗り入れと、「新幹線と飛行機のコードシェア」だ。地図を見てもらえば、おわかり頂けるかと思うが、東海道新幹線や、大井にある新幹線車両基地との間の連絡線から、羽田空港はさほど離れていない。上手いことトンネルを掘って首都高速湾岸線が通る位置に、「羽田空港長距離鉄道駅」を作ったらいい。新幹線の東京駅方面と新横浜駅とを接続。ついでに、JR東日本とJR東海の新幹線も東京駅で接続して、相互に乗り入れる。
そして、羽田空港からの大阪や花巻などへの本州内新幹線沿線への短距離フライトは全部廃止して、この区間の旅客輸送は新幹線に割り振る。さらに、新幹線には飛行機の便名をつける。別の言い方をすれば、新幹線座席を航空会社が一部買い取って、飛行機の代わりに運行する、と言ってもいいだろう。要するにコードシェア便と同じだ。そして、新大阪や仙台といった主要な新幹線駅には、航空会社のチェックインカウンターを設置して、そこでチェックインをできる仕組みにする。
こうすることで、東京と各都市間の移動や、羽田発着の国際線から国内線への接続は、短中距離区間は新幹線、長距離区間は飛行機と、距離に応じて役割分担をするように政策的に調整する。こうすることで、本州内の短距離フライトに使われている羽田のスロットを空けて、国際線用に割り振れるスロットを増やせばいい。増やしたスロットを使って、ヨーロッパやアメリカ、オセアニア方面のフライトも、羽田から飛ばしたらいいだろう。
発想は、単にドイツのフランクフルト空港でルフトハンザ・ドイツ航空とドイツ鉄道が30年ちかく前から行っているものを真似ただけだ(参考サイト。日本の航空会社では、ANAがドイツ鉄道の列車に自社の便名をつけている)。何なら、Air France - KLM と Veolia Transport が計画していると報じられているように、航空会社が新幹線線路の上に高速鉄道を走らせてもいいだろう。単にスロットを空けるだけではなくて、短距離航空輸送を鉄道に回すことで、経済性や環境面での優位性も出せる。
こういうインフラ施策+制度的施策を組み合わせたら、羽田はもっと使い勝手のいい「ハブ空港」になるだろう。10年~20年単位での話しになるだろうが、こういうことも頭に入れておいてよさそうだ。
成田空港は着陸料を引き下げて、格安系航空会社が乗り入れをしやすいように整備したらいい(格安系航空会社が今の日本で成功するとは、移民施策などを見る限り考えにくいが、これは機会を改めて書くことにする。)。あとは近距離路線と貨物の空港になること、などであろう。
地方空港も、施策の転換を考える頃合いだろう。たとえば、ボーイング737-800など中型機(定員150人ほど)で1日1往復ソウルと結ばれているのと、エムブラエル170や190(定員75~100人ほど)いった小型機で1日2往復ソウルと結ばれているのでは、ソウルから先の乗継ぎのチャンスが増えるから、明らかに後者の方が便利だろう。航空自由化が進む方向にある今は、こういった戦略を練る頃合いになっていると思われる。どうせキャパシティーなんて有り余るくらいあるわけだし。たまに地方空港が抱えている「おらが街からもアメリカへ直行便を」みたいな夢は捨てた方がいい。アメリカのどこか1カ所に直結しているくらいなら、小型機でいいからソウルや北京や香港と1日2~4便くらいで結ばれて、乗継ぎによって世界中と結ばれていた方がいい(むろん羽田が便利になれば、鉄道や飛行機で羽田にも直接つながっていればなおいい、ということになる)。
日本の交通施策は、現時点では基本的に「交通手段毎」である。しかし、距離帯によって最適な交通モードは異なるから、距離帯に応じた交通施策を採っていくべきであるといえる。旅客系であれば、都市内は徒歩、自転車、公共交通を優先、短中距離は鉄道を優先(田舎は車でも仕方ないだろう)、長距離は航空を優先、というような、距離帯に応じた政策が必要だろう。逆に、同じ距離帯では、各種の交通機関を統合して政策調整をするようにした方がいいだろう。上に書いた空港の施策は、その考え方に立ったときに生まれてくるものの一つだ。

ウィーン:近郊列車と工事用車両が衝突

ウィーンのMatzleinsdorferplatzで近郊電車と工事用車両が衝突。乗客13人が軽い怪我。工事用車両の運転士が重体。原因は今のところ不明。発生は12:15頃。(ソース)
Wiener Neustadtに向かうS-Bahnで、S-Bahn路線からPotzleindorfer Linieと呼ばれる路線への渡り線上で衝突した模様。列車が傾いて停まっているため、重機を使って移動する必要があるように写真では見受けられ、復旧までにはある程度かかるのではないだろうか。
この影響で、ウィーンから南部のグラーツやクラーゲンフルト方面に向かう長距離列車は迂回して南駅「東側」に発着。ハンガリー方面の長距離列車でWien Meidlingに停車するものはOberlaaを通る路線を迂回。南駅発着で南部方面の列車はMeidlingで打ち止め/始発。
この現場はウィーン南駅から出た路線上に貨物駅があった辺り。もともと線路が錯綜しているところだが、ウィーン中央駅を新設するのに伴う車両基地や貨物施設の更新の工事が行われているので、一部の軌道が閉鎖されたり、仮の軌道を設置したりと、さらに錯綜した状態になっているところだ。

「ロンドン パリ 高速列車」

タイトルに書いたような「ロンドン パリ 高速列車」という検索キーワードでこのウェブサイトにたどり着く方が結構いらっしゃるようだ。せっかくなので、まとめておこう。
結論からいうと、その列車は「ユーロスター」(”Eurostar“)という名前で、リンク先のオフィシャルウェブサイトにあるような、フランス・アルストム社製の車両で運行されている。ロンドンのセント・パンクラス(St. Pancras)駅から、パリの北駅(Gare du Nord)までを2時間20分ほどで結んでいる。また、このほかに、ロンドンからベルギーのブリュッセルまでの列車もある(所要2時間)。ブリュッセル側の駅は南(Midi)駅。
日本の旅行会社でも切符を売ってくれるが、やたら高い手数料を取られる。オフィシャルウェブサイトで割引運賃で購入する方が賢明だろう。日本市場向けの英語ウェブサイトがある。
なお、パリからブリュッセル、さらにその先のオランダ・アムステルダムやドイツ・ケルンへは、Thalys(タリス)という高速列車が走っている。パリからブリュッセルまでは1時間半ほど。こちらも、ウェブサイトで割引運賃を買う方が、日本の旅行会社に手配を頼むより断然お得。なおThalysの乗車券はSNCF(フランス国鉄)のウェブサイトでも購入できる。SNCFのウェブサイトでは、TGVなど他のフランス国内の列車の乗車券もオンラインで購入できる。むろん、オンラインの割引などが受けられるからお得。いずれの場合も、受取りは駅の自動券売機にクレジットカードを差し込んで行う方式で、「えきねっと」や「エクスプレス予約」と同じ。
いずれの都市間も距離がとても近いことに注目されたい。ロンドン-パリなら、さしずめ東京~大阪といったところ、パリ-ブリュッセルなら、東京~仙台程度だ。

Mach was du willst! - ÖBB Sommerticket!

オーストリア国鉄(ÖBB)から、Sommerticket (Summer Ticket) という、かなりあっぱれなオファーが出ている。7月4日から9月14日までの10週間の間、オーストリア国内の国鉄路線全てに乗り放題、というチケット。
購入できる要件は、26歳の誕生日を迎えていないことと、VORTEILSCard <26という、1年有効で国鉄全線が半額になるメンバーシップ・カードを持っていること。
料金は、20歳未満は25ユーロ、20歳以上26歳未満は59ユーロだ。今年から値上げされたが、期間が延長されたしÖBBの運賃そのものも値上げされているのでやむを得ない程度だろう。20歳未満には、ウィーン周辺(市内を除く)のバスが乗り放題になる35ユーロの特別バージョンもある。
驚くのはこれだけではない。オーストリア西部のチロル州では、夏休みの間、18歳未満のチロルの住民は、全ての地域公共交通機関を無料で使うことができる(ソース)。飛び地である東チロルと州都のインスブルックを直通するイタリア国内経由の列車にも適用される。
どちらも、若年層に公共交通機関をプロモートする政策の一環だ。おそらく、免許を取得して車で移動することになれてしまう前に、公共交通の利便性を実感してもらうことで、車利用を抑制し、将来の公共交通の利用者を育成しようというものであろう。「今」という時点では営業上の収入を減らすことにはなるが、今後数十年の時間スケールでは公共交通機関の利用者増につながり、かつ自動車の社会的不効用を抑制できる、という考えに立っているに違いない。とすれば、きわめて筋の通ったプロモーションであろう。

オーストリア鉄道ÖBBの運賃値上げ

7月から、オーストリア鉄道ÖBB (Österreichsche Bundesbahnen) は運賃を値上げするそうな。4.9%の値上げで、ウィーンからザルツブルクまでが現行の44.20ユーロから47.70ユーロに値上がりするそうな(Die Presse, Der Standatd)。VorteilsCardの発行手数料は据え置きだそう。
また、ウィーンを含むVerkehrsverbund(運輸連合:運輸連合に加盟している全ての公共交通期間(地下鉄・路面電車・バス・鉄道)は同じ1つの切符で乗れる)であるVORの1回券も1.70ユーロから1.80ユーロに値上がりするそうだ。ウィーン市交通公社(Wiener Linien)のウィーン市内24時間券などは運賃が据え置かれるとのこと。7月1日より前に発行される年間定期Jahreskarteなどは据え置かれるらしいけど、月間券なども値上げされるのかもね。詳しくは不明だけど。
ちなみにÖBB、昨年度の決算は約10億ユーロ(約1300億円)の損失らしい。乗客数は増えて人員はちょっと減少したものの、投資規模が大きいせいで、3億7600万ユーロ(約400億円)の減価償却がかさんでいるそうな(Dir Presse)。利息の支払いも馬鹿にならないらしい。
こうやってみると、民営化後には消費税分を除くと運賃値上げをしていないJRは優秀だな、とは一瞬思ったけど、その前の国鉄時代に結構運賃値上げを繰り返してるし、長距離運賃はJRの方が高いから、単純に比較はできないネ。(たとえばウィーン~ザルツブルクは約300kmで、InterCity(日本の特急列車に相当)に乗って普通運賃を払って値上げ後で47.70ユーロ、つまり約6,200円だけど、ほぼ同じ距離をJRの特急に乗った場合、7,760円(東京~原ノ町間292kmを常磐線経由で計算)になる。)それに、オーストリアでは、年会費(年齢に応じて約20ユーロ~約100ユーロ)を払えば半額になるし、年に2回程度以上乗る人はたいていこの会員カードを持っているので半分しか払わない(ちなみにWikipedia情報では150万人が持っているらしい。オーストリアの人口は880万人だから人口の17パーセントが持っていることになる)から、なおさら単純には比較できないネ。